黄色いナンバーのモンキー

モンキーというのはバイクの名前である。とても小さいが、本格的である。紛れもないバイクである。

小さい。このサイズがモンキーの性格を決定づける。見た目がかわいらしい。皆油断する。しかし、これは本物のバイクである。ハンドルを折りたたんで車のトランクに積み込むことが出来る。強いて他のバイクとの違いを探せば、その点だろう。

所謂、原付なのだ。エンジンはスーパーカブとほぼ同じもの。少なくとも見た目は同じである。49ccの4サイクル単気筒エンジン。進行方向にシリンダヘッドを向けて、ほぼ水平に配置されている。私のモンキーは特別仕様なのでクラッチレバーが付いている。(古いモンキーはクラッチレバーなしの3速だった)4速ミッション。前のオーナーがいろいろと改造を施している。見た目はマフラーが目立つ。オリジナルのアップマフラーからミッションの下を通して上に向かう少々大げさなマフラーに変更されている。音も少し勇ましい。

よく見ると、エンジンのシリンダーもちょっと違う。リアサスペンションのスウィングアームも別の部品が入れてある。あと、キックレバーとガソリンタンクの蓋が特殊らしい。

私は詳細を知らずに乗り始めた。先日、オイル交換を依頼したところ、エンジンから異音がすると指摘された。メカニックが言うには、クランクに問題があるというのだ。クランクシャフトのベアリングからの異音で、おそらくシャフトの交換が必要とのこと。言われてみると、確かに妙なノイズが聞こえてきた。気になりだした。そういえば、時々交差点でエンストしていた。

修理を依頼した。大変重要な部品であるからコストもかなり掛かる。調べてみると、クランクシャフトの完成品が欠品となっており、部品を取り寄せてクランクシャフトを組み直す必要があるとのこと。さらにコストが上がる。

私はモンキーの良さが分かってきた。分かってきたところでこのトラブルである。新車のスクーターが一台買えるくらいの修理費用がかかると云われたが、やって貰うことにした。結局、修理の範囲は予想を大きく超えた。メカニックはエンジンを開けてみて、使える部品は使い、駄目なものは交換すると云っていたが、結局、ピストン、コンロッド、シリンダを交換した。修理明細にはクランクシャフトは分解組み立て加工とある。

大修理の結果、モンキーは完調を取り戻したようだ。今までと全く違うフィーリングとなった。大変気持ちよい。

修理の結果、もう一つ分かったことは、モンキーはボアアップキットが組み込まれていて、排気量が88ccあること。原付ではないのだ。

このまま乗り続けると、いろいろ不都合が生じうる。脱税とか、あと保険の問題もあるかも知れない。小型自動二輪として、登録し直すことにした。バイク店で修理の証明書を作ってもらい、あとはバイクの登録書類とナンバープレート、そして認め印をもって市役所へ行くと、数分で手続きは完了する。新しい登録証と黄色いナンバープレートを受け取った。登録の変更に費用は請求されなかった。

あとは、登録の変更に伴う自賠責保険の記載事項変更手続きのために、あらためてバイク屋へ行った。

黄色いナンバープレートになって、制限速度が50キロ毎時になった。今までは原付ということで、のんびり走っていたが、これからは制限速度に達していないと、後ろからせっつかれるかも知れない。

原付が通れない道を通れるようになった。これは大きい。また、二段階右折に従う必要もなくなった。

白い三角マークを貼り付けなくてはならないのだが、元々原付のモンキーには、シールを貼り付けるスペースがない。これはちょっと工夫が必要だ。あと、自動二輪の免許が必要になった。女房に運転させることは出来なくなった。と云っても、女房はミッション付きのバイクは運転できないけれど。

ナンバープレートの色が変わっただけなのだが、気分的にはずいぶんと違う。様々な規制から解放されて、自由な気分で運転できる。