モンキー

昨年、海外に赴任する同僚からバイクを預かった。手放すというから、帰国するまで私が乗っていてあげる、と提案した。

モンキーという小さなバイクである。84年製造の金メッキバージョン。私がバイクの免許を取ったのが、奇しくも84年である。まぁとにかく古い。私と同じくらい古い。

原付を所有するのは初めてである。西宮に住み始めてから、通勤にバイクを使っているが、片側3車線の国道バイパスを走る都合上、中型のバイクに乗っていた。初めはセロー、そいつが盗まれてからVTRというバイク。通勤には丁度よいバイクだ。どちらもバイク宅配に使われている。

乗り始めて半年余り。モンキーのよい点ならいくつも挙げることが出来る。

ライディングの楽しさ。これが一番目。私はモンキーに乗るようになって、ずいぶん安全に気を遣うようになった。それまでも、まずまず安全な運転をしていたつもりだが、モンキーライディングはあらゆる場面で意識的に謙虚であることを強いる。周囲を念入りに観察しつつ、バイクと自分を馴染ませる。これはライディングの醍醐味だ。

トルクのあるエンジンが素晴らしい。ちょっと癖があるが操縦性もなかなかよい。癖というのはフロントが軽いことだ。

ライディングポジションも意外なほど良い。ニーグリップをやりやすい。背筋を伸ばしてライディングする。

愛らしいスタイルはこのバイクの最大の魅力だ。ライダーとセットで絵になる。私が跨ると、金メッキの小さなバイクは一種のジョークのように見えるらしい。

以前住んでいた共同住宅では、エレベーターに乗せて自宅の玄関前に置いていたのだが、エレベーターで出会った人は、必ず小さな愛らしいバイクに驚き、会話が生まれた。

取り回しが楽。駐輪場の王者。他のバイクが諦める隙間に駐輪出来る。

難点は常に盗難の危険性がつきまとうこと。

モンキーを選んで、そのすばらしさを経験しなさい。私は既に体験した。

参ったな。そのうちに返さなくちゃならないんだった。