前髪

子どもが土曜日のドラマを楽しみにしているようだ。熱心に見入っている。
ひとりの気の毒な少女が虐められる。小公女のストーリーを今風に焼き直している。ドロドロとした救いのないエピソードが積み上がっていく。みていてうんざりするのだが、ハッピーエンドになるに決まっている。ドラマを一目見ると、最後に幸せになる役回りが分かる。きっと有名な女優さんなのだろうが、私には区別が付かない。だが、どの子がワルで、どの子が幸せになるか容易に区別できる。前髪に注目だ。前髪をまっすぐに切りそろえている女優さんは悪い役だ。一方で、前髪の両脇を長く伸ばしている女優さんは今は苦しんでいるが結局幸せになる。つまり主役だ。
高校生になる我が家の娘も、前髪の両脇を長く垂らしている。私が勤める職場の学生達も大抵同じように、前髪の一部を長く垂らしている。実習で邪魔になるから長髪の人は髪をゴムで括るように指示したら、みんな一寸ずつ前髪を垂らす。意味がないからピンで留めろと言っても言うことを聞こうとしない。両の耳の前辺りにひとふさ分くらい長い髪を残す。なんて言う髪型なんだろう。
私も髪を伸ばしたことがある。後ろで括ろうとすると、前の方の髪は長さが足りないので上手く括れない。私は伸びきるまでヘアピン数本のお世話になっていた。少女達の髪型は,要するに伸びかけの髪をイメージしているのだろう。
その垂れた髪を邪魔にならないように何とかすることは、少女達にとっては死んでも嫌な何からしいのだ。
ドラマの最後はどうなるか。悪い女は地獄に堕ちる、と来るかと思ったら,娘は二人が仲直りするのではないかという。なるほど。
悪い方の女の前髪も両脇が伸びてくる,と言うのが私の説だ。